長年、「女はどうして男より多くないのであろうか」ということが考えられてきました。その疑問は未解決のままだったのですが、新たな仮説が出てきたのでご紹介します。
https://gigazine.net/news/20210815-males-females-mutation-load-sexually-reproducing/
Selection in males purges the mutation load on female fitness – Grieshop – 2021 – Evolution Letters – Wiley Online Libraryhttps://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/evl3.239
Males help keep populations genetically healthy – Uppsala University, Swedenhttps://www.uu.se/en/news/article/?id=17182
Males, sexual selection help keep populations genetically healthy – UPI.comhttps://www.upi.com/Science_News/2021/06/28/canada-beetles-males-sexual-selection-genetic-health/8611624886692/
一行でわかる結論
結論:オスは突然変異の影響を受けやすい。良くも悪くも変わっている個体が多いのがオスである。
ということです。解説していきます。
導入
女と男はなぜほぼ同数なのか。少数のオスでメスを孕ませようがメスが産む子供の数はほとんど変わりません。だったら、女が多く、男は少なくてもいいんじゃないかと考えることもできます。
(色々誤解が起きそうなので、以降、オスメスで話を進めていきます。)
メスは妊娠出産に時間がかかります。人間で言えば一年くらいです。
一方、オスはやろうと思えば1分で終わります。
そうであれば、オスが1日一回射精をできるとして365回妊娠出産に携わることができるわけですよね。なぜメスは365倍の数いないのでしょう?というのが問題です。
一見、効率的に思えます。たまーーーーーにオスが生まれれば良いからです。オスは種馬として生きることになり、メスは常に妊娠をした状態で生きることになる。(もし人間なら尊厳を捨てていますが笑)実に効率的です。子供を残すことが第一任務なのであれば。
しかし、大体の哺乳類のオスとメスの数はほぼ同数です。(実際にはメス:オス 1:1.05くらいの割合らしいです。)これでは子孫を残せないオスが出てきてしまいますよね?
なぜなのでしょう。
二つの仮説を紹介します。
その個体にとって有利なことを選択する
イギリスの進化生物学のフィッシャーの自然選択の遺伝学的理論では「主全体にとって有利」よりも「その個体にとって有利」であることが優先して行われると主張されています。
https://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/bitstream/2433/157333/1/kronso_183_3_87.pdf
先程のオスとメスの比率が365:1の世界は確かに種全体にとって有利です。しかし、その個体にとって有利とは言えません。
一つのオスから遺伝子が配られることになると、そのオスが優秀ではなかった時に絶滅してしまう可能性が増えます。似たような遺伝子ばかりになると、困ることが起きるわけです(種の絶滅はオスとしてもメスとしても絶対に避けたい)
メス目線、優秀な遺伝子をもらうため(自分の子孫が有利になるよう)に数多くのオスの中から選ぶわけです。
オスによって性淘汰を起こしている
こちらが新たな研究によって提唱された説です。研究の内容は「ヨツモンマメゾウムシを繰り返し掛け合わせる実験」です。今回の実験ではヨツモンマメゾウムシの近交系を16系統準備し、それらを掛け合わせることで突然変異がオスとメスに与える影響を調べた実験です。
つまり、同系交配(人間で言えば親戚)と異形交配(血縁が遠い)の突然変異の影響はオスとメスで違いがあるのか?ってことです。この実験の結果、
- 同系交配ではオスとメスの両方が突然変異の影響を受ける。←当然
- 異形交配ではオスのみが突然変異の影響を強く受ける←!?!?!?!?!?
この結果から「雄の性淘汰により、突然変異の悪影響が効率的に排除される」ということを意味しているとのことです。
つまり何が言いたいか
オスというのは突然変異の影響を受けやすく、子孫を残すことができなければ自分は「悪い遺伝子を持っている」ことの証明になってしまう。ということです。
しかし、突然変異によって子を残すことができれば、その子どもは優秀である可能性もあります。
オスにとっての「変わり者」は優秀である可能性もあり、優秀ではない可能性があるのです。優秀でないと判断されたオスというのは非常に辛い運命をたどります。メスより、オスの方が優秀と優秀ではない個体の差が大きいためどんどん優秀ではないオスは淘汰されていきます。
これが人間にも言えることだとすると、恐ろしいですね・・・。
仕事での成果を上げたい方に
「仕事での成果を上げたい」「疲れがたまり集中できない」
という方にお勧めの記事です。
よければチェックしてみてください。
以上、ありがとうございました。

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